2014年6月9日月曜日

初めての東ブータン

ブータンに来て早3年という月日が経ちましたが、
やっと念願が叶い、初めて東ブータンを訪れる機会が得られました。

首都ティンプーは随分近代化が進み、
年々急激な変化を遂げていますが、
東ブータンにはまだ、本来のブータンらしさが残っています。

今回の旅の目的は、保健省が保健医療サービスの
まだ十分に届いていない人々を対象に行う調査に、
調査団として加わえて頂き、保健省の役人と共に、
各地のコミュニティや医療機関を回り、
人々の話しを聞く事でした。

ブータン東部には、6つの県がありますが、
保健医療提供体制には、それぞれに違った悩みを抱えています。

例えば、保健人材の不足はどこも共通ですが、
道路や医療機関へのアクセス、地理的な問題、
まだまだ伝統的な民間療法に頼る人々が多い地域、
季節によって移動する遊牧民族へどうサービスを提供するか等です。

中でも今回の旅のハイライトは、メラクとサクテンという、
人里離れた高所に住み、ヤクと呼ばれる動物と共に生き、
独特の生活と文化を守る人々の村を訪れることでした。

一番近い車道まで歩いて丸一日かかるようなところに
その村々はありますが、そこにもBasic Health Unitと
呼ばれる末端の医療機関があり、Health Assistantと
呼ばれる医療従事者が住民の健康を日々支えています。

私の働く病院には、全国各地から患者さんがやってきますが、
実際その人達がどのようなところから来て、
また退院後どのようなところへ帰って行くのか、
ずっと気になっていました。

今回東ブータンを訪れ、人々の暮らしと、それを支える地域の医療機関、
それを実際に自分の足で歩き、眼で見、人々と触れ合う事が出来て、
大変学びの多い旅になりました。

貴重な機会を与えて下さった、ブータン政府保健省の方々に、
心から感謝したいと思います。

Sakten村の朝日








京都大学病院とブータン王立医科大学との医学交流

2013年10月29日、
京都大学病院とブータン王立医科大学、そしてブータン政府保健省が
三者覚書を結びました。
ブータン王立医科大学として、外国の大学と覚書を結ぶのは、
これが初めてになります。

この覚書のもと、現在京都大学病院から、外科、内科等の専門医、
そして看護師等からなる訪問団が、3ヶ月毎に私の働く
Jigme Dorji Wangchuck National Referral Hospitalを訪れ、
ブータン人医師、看護師達とともに、患者さんの診療にあたっています。

緻密な日本の医療の最先端から、
衛生状態や地理的状況、医療システム等、
様々な面で異なる環境に身を置いてみると、
同じ医療現場でありながら、
また違った景色が見えてきます。

今年から、ブータン王立医科大学では、
専門医を育てる卒後研修プログラムが開始される予定です。

ブータンの医療界の未来を担う医師育成に、
日本の医師や看護師らが、何らかの役割を果たせればと思います。