2013年9月15日日曜日

初めてのティンプー・ツェチュ(アツァラについて)

ブータンに来て早2年と4ヶ月が経ちましたが、
今年はじめて一年に一度のお祭り・ツェチュに行くことができました。

毎年ブータン各地で地元のツェチュが行われますが、
ティンプーは9月のこの時期が通例で、
何日も前から祭りのために僧侶達が
特別なお祈りを重ね、
祭り期間中は祝日となり、
多くのティンプー市民、地方から訪れた人々、
そして観光客で賑わいます。

祭りの様子はテレビでも生中継されますが、
実際に祭り会場に足を運び、
その踊りを拝見、拝聴すると、
よりご利益があると言われるツェチュ。

マスクと色鮮やかな衣装をつけた僧侶、
そして熟練した舞踏家達が、
躍動的な踊りの数々を繰り広げますが、
そのすべてには宗教的な意味合いが込められており、
集まる人々に仏の教えをリマインドするという重要な役割が、
このお祭りにはあります。

そのお祭りの中で重要な役割をするのがアツァラ。
赤いお面を着け、ポーと呼ばれる魔除けの男根を持ち、
コミカルな動きで客を笑わせるアツァラは、
一見、その佇まいから「道化師」と思われがちですが、
実はその語源は、サンスクリット語のアツァーリア(先生)
と言われており、言わば仏の教えを人々にわかり易く教える
ファシリテーターのような役割を果たしています。

アツァラは最初から最後までフル出場し、
全ての演目とその裏に込められた意味合いを深く理解し、
全ての踊りのステップを知り尽くしていなければなりません。

面白さだけでなく、体力、知力共にもとめられるそのアツァラの姿に、
「先生」のあるべき本当の姿を見たような気がしました。